固定種の野菜
写真は借りている畑に播いた種の袋だ。全て「固定種」で、当然のことながら(安全性に疑問がある)遺伝子組み換え作物ではない。
ところが、遺伝子組み換え作物を使っていない食品を選べば良いというほど話は簡単ではない。
というのは、スーパー等で流通している野菜は殆どF1だからである。
F1というのは違う系統の親となる2つの野菜を掛け合わせてできた第1世代のことだ。そのため、F1から種ができたとしてもその子世代の野菜は親であるF1の野菜とは違う性質になる。つまり農家に毎回、種を買うように仕向けるものなのだ。
F1をつくるときに邪魔になるのが自花受粉で、昔は雄しべを手作業で取ったりしたらしい。ところが雄性不稔という突然変異(細胞のミトコンドリアの異常)で雄しべが機能しない花が生じることがあり、こうした雄性の子孫が残せない不完全な花の雌しべを使うのが増えているらしい。
要するに、遺伝子組み換えでなくとも、F1の野菜自体が一方の親として子孫を残せない(その植物自体には致命的な欠陥)ものを使っていることが有るのだ。
これに対して上の写真(人参の種が多くなってしまった)は全て固定種(エアルームという更に狭い定義もある)で、できた種から育てると同じ野菜がとれる。栽培に手間がかかることもある反面、味が良いとの指摘も多い。
つい数十年まで人々は皆そういう野菜を食べていたのが、今では自分から探さないと手に入らない。
念のため追記すると、F1の野菜が例えばエネルギー代謝に関連する問題を孕んでいるのか否かについては個別の研究が必要だと思うが、情報の共有と選ぶ自由が大事なのだ。