食器棚の扉
少し前の話だが、食器棚の扉が次々に勝手に開く状態になってしまった。地震が来たら食器が飛び出してしまう。見ると、食器棚の本体に固定されている筈の小さなマグネットが扉の側の鉄の小片に付いたまま一緒に開閉されている。
これは何とかしなければならないが、ホームセンターで売っているマグネットは形が平らで見かけが全くちがう。そのタイプの品物に取り替えることもできなくはないが、ネジ穴をあけ直したりすると不格好になってしまう。もっと探せばどこかから入手できたかも知れないが、数も多く大きさが合わないと無駄になってしまうので気後れしてしまった。
そこで、考えた挙句に磁石を固定している壷型の樹脂のパーツ(経年変化でどれもボロボロに崩れてくる)の割れが少ない一つの型をとって複製することにした。
問題は外側にネジ山が切ってあり、普通だと型からはずせないと思われることだ。型を左右に二分するときにネジ山がうまく分かれるための工夫が必要だった。たいした考えも出ず透明なプラスチック板で仕切りを作ってみたが、手間がかかった割には隙間だらけだった。
それでも後はなんとかなると思い、水で溶いて菓子の小さなカップに満たしたセメントに型どりの材料を沈めて一日放置した。
写真の左半分に新しく作る壷型のパーツの材料となる予定の百均で入手した「イロプラ」が写っている。「お湯まる」の方が有名だが、たまたまこれが店に有った。仕上がりはこちらの方が硬くなるようなので結果として良かった。
上はセメントを型から取り出したところの写真で、二つに割って、型をとった元の樹脂パーツを取り除き、お湯で柔らかくして(茶色の絵の具で)着色した材料(イロプラ)を挟み込んで、しばらく放置した。
熱いお湯の鍋の中で何度もやり直したものの、なかなか上手く行かなかった。
結局セメントを使うこの方法は諦めることになった。多分もっと上手な人ならうまくできたのだと思う。
その後、後述する別の方法で磁石の数だけ元のパーツの代替品をこしらえた。
上が復元したパーツの一つを最終的に食器棚に取り付けた状態だ。お湯で柔らかくする樹脂の工作は初めてで、予想外に苦戦してしまった。
普段は注目しない部分なのでこれで良しとした。ネジが切られているので調節可能で今もそのまま使えている。もう一度この作業をするかというと、あまり気がすすまないが、身近に売っていないものは他にどうしようもない。
2月15日追記
これが実際に使った型で、2種類の材料を混合して固めるタイプの型取り用シリコーンゴム(一袋10g、粘土などを詰めて乾燥させるとの説明)を使った型の写真だ。固まるといってもふわふわしたままで心配だったが、「イロプラ」(お湯まるの類)も熱くて持てないくらいのときには充分柔らかくなるので、柔らかいもの同士でも作業ができた。右の写真のように左右に開いて型から固まったカップ状の樹脂を取り出すのも容易だった。これで何とか急場をしのぐことができた。
(終わり)