おいしい菜自然菜園

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無いものは作ろう(5)

ACアダプタ電圧変換器(小電流用)

 パソコン周辺機器などの種々の装置を使っているうちにACアダプタだらけになる。電圧や電流容量、プラグの形状も様々で、どれがどの装置のものか分からなくなるので最近は白いラベルを貼って区別している。

 一方、いまのACアダプタは高速スイッチング方式が殆どだが、スイッチという名の通りそれ自体がノイズの発生源で、家の電灯線にノイズを送り込む可能性が有る。

 このため、トランス式の古いACアダプタは貴重だ。

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 前置きが長くなってしまうが、以下のような経緯で電圧変換器を作成することになった。

 写真のACアダプタは出力電圧が17Vで0.9Aまで流せるもので重さは700g強ある。何に付いていたのか今は不明だが、トランス内蔵でノイズの拡散は少ない筈なので気に入っている。

 17Vは負荷が接続されたときの電圧で、開放時の出力電圧は20Vを越える。

 今回、このACアダプタを非常時の携帯の充電などを考えて最近入手したメンテナンスフリータイプの自動車用バッテリーの補充電に使用することにした。

 メンテナンスフリーということで、補水口が無く、蒸留水の補充ができない。このため、大電流での充電は避けたく、せいぜい100mA程度の定電流回路(LM317使用)を介して補充電をすることを考えた。

 実際に繋いでみるとACアダプタの出力電圧とバッテリーのターミナル電圧(12V台)の落差が大きく、弱い電流とはいえ定電流素子LM317の入出力電位差が7Vを越えて発熱(0.7W)も気になる。

 そこで、電圧変換器(降圧回路)を作成してACアダプタの出力電圧を16V台まで下げることにした。

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 回路は専用ICのLM2576ADJ(テキサスインスツルメンツ)を使ったもので、コイルはサトー電気の小鼓型コアに0.4mmのウレタン線を1m巻いて作成した100μH、フィードバック用の抵抗はR1として2.2kΩ、R2として27kΩを用いた。試用中にICの発熱が殆ど無いこと(データシートによれば出力15V以上で効率は88%)を確認して放熱板を付ける必要は無いと判断した。但し、後日小型の放熱板を付ける予定だ。

 上の値で電圧変換回路の出力電圧は16.6Vとなったが、上記した定電流回路の出力側に逆流防止ダイオード(順方向電圧0.3V)を付加しているため、バッテリーに印加される電圧は16V強となる。これは通常のソーラーパネルの出力電圧にほぼ等しい。

 ここまで読んでくれた方々には感謝したい。ところで、何故細かく面倒な作業までして電子回路のパーツ作りをするかというと、このブログで記述している自然相手の野菜作りは予期せぬ障害(四つ足、鳥、虫、カビなどの微生物、日照不足、強風、旱など)の連続で、それに比べれば真面目に作業すれば期待通りの結果が出るパーツ作りは確実に達成感が得られるからである。

 ついこの間もソフトボール位まで大きくなったスイカに雨天続きの対策としてビニールの「座布団」を敷いたところ、すかさず烏の襲撃に遭ってしまった。考えるに、「座布団」の色が赤で周囲が緑色の菜園内で目印をつけたようなものだった。収穫の時期は未だ先と油断したのがいけなかった。

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 電圧変換器の回路は上の通りでTI社のデータシートの21頁の図に基づいている。ダイオードの品番は記入し忘れたが重要で、東芝ショットキーバリアダイオード3GWJ42を使った。この種の回路では図の太線で表されるアースラインが大事で、回路の安定性やノイズの点からどこに繋いでも良いということは無い。また、470μF/25Vの電解コンデンサに並列に0.68μF/35Vのタンタルコンデンサを接続してノイズ対策とした。

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 手持ちの基板や短いリード線を使ったため見栄えの悪い裏側の写真を敢えて載せることにした。上の回路の太線に相当する箇所には糊付きの銅箔を貼り付けてインピーダンス(交流抵抗)を下げるようにし、回路図の細い線の部分は黒いリード線を使って分離するようにした。

 メンテナンスフリーバッテリーにこの電圧変換器をどんな風に使うつもりかと言うと、バッテリーの現状維持が目的なので出番は月に一日位だと思う(通常のチャージコントローラとはこの点で異なる)。

 いざというとき(無いことを祈る)に、例えば部屋に電源が確保されれば照明にも使えて心強い(注:一般的な自動車用バッテリーの容量は28A時で、50%を越えるような過大な放電は想定されていなので、1A流してしまうと一日か二日が限度であり、また室内での充電は行ってはならない)。

 次は、電圧をモニターして、ある程度電圧が上がれば小電流による充電も停止するように構成する予定だ。